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2020.2.1

65回 青少年読書感想文全国コンクール
石川県代表作品 輪島市立大屋小学校5年 金沢方式会員O・Kさん
 
「言葉屋 言箱と言珠のひみつ」を読んで
 
「大人しい性格」これは主人公の詠子と私が似ているところです。詠子が、クラスの男の子に名前のことでからかわれたり、助けてくれた子にお礼を言おうとしても、タイミングをのがしてなかなか言い出せなかったりするところが、私と似ていると思って、この本に興味をもって、読みはじめました。
 この本には、言いたいことが必ず伝わるコトダマというお守りと、書いたことが絶対に伝わるコトダマガミというふしぎな紙が出てきます。詠子は、五年生なって、ボーイッシュで活発な正反対の性格のしいちゃんと仲良くなります。でも、しいちゃんは、本当はかわいい物が大好きで、スカートをはいてみたいと思っていました。そこで、詠子はコトダマをしいちゃんにあげます。そのコトダマをもらったしいちゃんは、お母さんに「スカートがほしい」と言うことができました。もし、私にもコトダマやコトダマガミがあったなら、どんなことに使うかなと考えてみました。
 私は、生まれつき耳が聞こえないので、人工内耳を付けています。周りがざわざわした場所で話を聞くときは、静かな場所で聞くよりも聞こえにくいです。片方に機械を付けているので、急に呼ばれても、そこから呼ばれているのか分からなくキョロキョロしてしまいます。人工内耳を付けていない方から話しかけられたときは、聞きとれない時もあります。私は、家族や仲良しの人と話している時なら遠りょなく聞き返すことができますがそれ以外の人には、いやがられるのかなと思って遠りょしてしまい、なかなか自分から話しかけられません。だから、もし、私にコトダマのお守りがあったら、遠りょなく聞き返せるようになりたいです。私のことをあまり知らない人や、まだあまり仲良くない友だちに話すときに顔を見せてくれると分かりやすいことや、静かなところで話したり、人工内耳を付けている方から話しかけてもらえると聞き取りやすいということを伝えたいです。
 でも、コトダマがない私にとっては、勇気がとても大事だと思います。大人しくて、あまり目立ちたくない私は、四年生の美化委員会の放送では、はじめはドキドキしていました。けれど、だんだん慣れていくうちにドキドキしなくなりました。今、私は、運営委員会に入り、みんなを並べたり、給食の時にお知らせを言ったりできるようになりました。授業中も、手を挙げて発表できるようにもなってきました。まだ、大きな勇気も必要で、ドキドキもしますが、うまくできたことで、少しだけ自身がもてるようになりました。私にとっては、この自身がコトダマのお守りになっている気がします。
 私は、これから、自身というお守りをもって、聞き返したり、自分のことを話したりできるようになりたいです。そしていつか、コトダマのお守りがなくても、ふつうに言えるようになりたいです。
 
「言葉屋 言箱と言珠のひみつ」久米絵美里・作:もとやままさこ・絵:朝日学生新聞社
 

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